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ITストラテジスト試験の勉強法まとめ
はじめに
 ITストラテジスト試験に合格するための勉強方法、お勧め参考書、お勧め論文事例集、勉強テクニック、解答のコツなどを紹介。
目次
ITストラテジスト試験とは
概要
 主にIT技術を利用したコンサルティング業務に関連する能力が問われる試験。主にIT技術を利用して、企業の営業活動を改革、最適化するための基本戦略を策定したり、提案したりする人に対する試験である。。具体的には下記のような能力が問われる。
・企業の特徴から、IT技術を利用した最適な事業戦略を策定する能力
・事業戦略を実現する情報システム戦略や、情報システム戦略の作成方針を策定する能力
・情報システム戦略を実現する、個別のシステムを策定し、実行結果を評価する能力
難易度
 ITストラテジスト試験はあらゆる理系の試験のなかでも難易度が高い試験と言われている。いきなりこの試験を目指すのは難しいと思うので、少なくともこの試験と同じIPAが実施する応用情報処理技術者試験程度は合格してから挑戦するのが望ましい。
求められる技術力
 IPAによると求められる技術力というのは以下の通り。
・事業環境分析、情報技術動向分析、ビジネスモデル策定への助言を行い、事業戦略を策定又は支援できる。また、事業戦略の達成度を評価し、経営者にフィードバックできる。
・対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、情報システム戦略や全体システム化計画を策定できる。また、情報システム戦略や全体システム化計画を評価できる。
・対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、全体システム化計画に基づいて個別システム化構想・計画を策定し、適切な個別システムを調達できる。また、システム化構想・計画の実施結果を評価できる。
・情報システム戦略や改革プログラム実施の前提条件を理解し、情報システム戦略実現のモニタリングとコントロールができる。また、情報システム戦略実現上のリスクについて、原因分析、対策策定、対策の実施などができる。
・新たな組込みシステムの開発に関し、関連技術動向、社会的制約・要請、知的財産などの分析結果に基づき、競争力のある組込みシステムを企画するとともに、付加価値、拡張性、柔軟性などを踏まえ、その展開戦略や開発戦略を策定・推進できる。
 これをみればわかりように企業のビジネスモデルや特徴を理解した上で、その企業の将来的に経営戦略を把握しつつ、どんな選定方針でシステムを導入し、どのようなシステムを作るのかということを述べられるようにしておく必要がある。
 そのためには事業の特性に合わせた経営戦略を答えられるように、様々な経営手法を知ることも必要であるし、その企業にどういうシステムを導入すればその企業にとってどういうメリットがあるかという視点や、経営に苦労している企業に最新のIT技術を導入することで経営効率を高める手法をアドバイスするなどIT技術にも明るくないといけない。
 特にIT技術に関する知識は幅広い知識が必要になる。例えば最近流行のクラウド、スマホなどのモバイル、SOA、Webサービス、ERPソフト、VPN、RFIDなど最近利用されているIT技術を理解し、そしてどのように利用することで企業に利益をもたらすのかという知識や経験が必要になる。
試験傾向
 試験問題は、IT技術に関する全般や、企業が情報システムを導入し評価するまでの流れに関して理解していないとかなり難しいものになると思う。試験に合格するために必要な暗記量はそれほどでもないと思うが、それらのIT技術に関する知識や、経営に関する知識をどのように活用して、企業の問題点や新たに導入するシステムを構築するのかといった応用力や、発想力が問われるようなことが多い。
 特に論文は、かなり特殊な事例の回答を求められることが多く、実際に業務で経験していなければ答えられないだろうと思われる出題も結構ある。そのため、これといって確実な勉強法があるわけではなく、普段からシステム開発、システム戦略の策定に関してアンテナを広げておいて、あらゆる情報を収集する必要がある。これが理系の試験で最も難しいと言われる理由であると思われる。
おすすめ参考書
参考書の種類について
 参考書をいろいろみてみると、参考書には学習することをメインに作られた学習用参考書と、合格するためのテクニックを追求したようなテクニック習得用参考書、論文に特化した論文事例集の三種類にわかれる。学習用参考書は経営戦略の基礎が記述されており、企業の経営戦略やシステム戦略に詳しくない人にもわかりやすい作りになっている。テクニック習得用の参考書は基礎を習得している人向けで、合格するための情報や解答テクニックが中心となっている。論文事例集は論文に関するテクニックと過去問の論文事例が数多く記述されている。
 それでは、それぞれの参考書について詳しくみてみよう。
学習用参考書
 経営戦略、コンサルティング業務の経験が無い人はぜひ購入したいのが、この学習用参考書だ。学習用参考書には経営戦略に関する知識、用語などが記述されており、経営に関する基礎知識を学習することができる。
 ITストラテジスト試験の勉強は、応用情報技術者に合格するレベルがあれば特に学習しなくてもいいという人もいるが、個人的には学習用参考書を購入して学習してみることをお勧めしたい。なぜなら、ここで学ぶ様々な知識が、後々の論文試験で活きてくるからだ。
 例えば、論文では、企業がどのようなシステム情報戦略を策定し、なぜそのような意思決定をしたのかを記述する必要がある。従って意思決定手法や分析手法を知識として得ていれば、それを論文に「知識」として導入できるからである。これらを行動指針の理由とすれば論文の説得力が増す。
 また午後1などにおいても、なぜその施策を策定したのか、経営における様々な知識のバックグラウンドがあると背景を理解できることも多い。従って、一度は学習用参考書で経営に関する知識を学習しておくことが望ましい。
 しかし学習する時間がない場合もあるだろう。そのような場合や深い基礎知識は必要ないと考える場合、効率を重視する場合には学習用参考書は不要なので自分のスタイルに合わせて選択して欲しい。
おすすめ学習用参考書
 ITストラテジの応用知識がお勧め。過去問の解説などは一切無く、ストラテジストの知識にのみ特化しており、解説がかなり詳しい。営業利益や営業利益率など簿記に近い内容も網羅されており、これ一冊でITストラテジストに合格するために必要な知識が網羅されている。基本的な知識から学習したい人は絶対に購入しておきたい。
テクニック学習用参考書
 実務経験がある人も無い人も絶対に購入すべき参考書。基礎的な解説もあるし、午後1対策、論文対策テクニックなども記載されているので、まずは何があっても購入したい参考書である。
 テクニック学習用としては情報処理教科書が最もテクニックに詳しい。特に午後2の論文問題においては事前準備の論文モジュールの準備方法なども記述されており、過去問の解説も他のテクニック習得用参考書よりも掲載数が多いのでお勧めだ。しかし、それでも論文対策で最も重要な見本となる論文掲載数が足りないと考えられるため、必要に応じて論文事例集を購入するなどして補おう。
おすすめテクニック学習用参考書
 こちらは午後1と午後2の解答テクニックに特化している情報処理教科書ITストラテジストがお勧め。特に午後1の点数がとれないという人は購入することを強くお勧めしたい。過去問の解説も多く掲載されており、過去問題集も購入する必要ない。論文の記述方法も記載されているので、これ一冊があれば最低限の対策は可能だが、論文の掲載数に多少物足りなさがあるため、必要なら論文事例集の購入を検討しよう。
論文事例集
 論部ん不安を感じている人は可能であれば論文事例集を購入することが望ましい。より多くの事例集に接することができるので、どのような論文を記述すればいいか、骨子の作成に困ったときに参考できるのでお勧めだ。
 論文事例集にも論文記述テクニックが掲載されているがテクニック用参考書にも掲載されているので、論文記述テクニックを得る目的として購入する必要はなく、論文事例集が欲しい場合にのみ購入を検討しよう。選び方としては、論文掲載数が多いもの、論文事例の解説が詳しいもの、テクニック用参考書に掲載されている論文と重ならない事例集を選ぶのがいいだろう。
 お勧めはITECのITストラテジスト合格論文事例集だ。これは論文事例の記載数も多くテクニックについても多く記述されている。
おすすめ論文事例集
 ITストラテジスト合格論文事例集がお勧め。論文の事例集も豊富にあり、さらに論文の書き方の説明も詳しい。論文によほど自信がないのであれば、この論文事例集は絶対に購入しておきたい。数多くの論文事例が記載されているので、どのような論文を記述すればいいのか知りたい人には特にお勧めでぎる。論文に悩んでいるのなら絶対に購入しよう。
勉強方法の考え方
はじめに
 ITストラテジスト試験は、他のIPAの資格試験と比較して多少毛色が異なる。他の試験が知識を問われているような内容が多いが、ITストラテジストは知識もそうだが発想力や適応力みたいなものが求められている。
 従って、中にはITストラテジストの勉強に参考書は必要なく、過去問だけやったほうがいいという意見もある。午後1の問題をみればわかるが、極めて普通の問題であり、よく読めば誰でもある程度の解答をすることができる内容と感じるはずだ。だからこそ勉強が難しいのだが、そこは過去問を多くこなすことで慣れていくしかない。
 また論文の問題の中には「業務で実際に仕事をしてないと答えられない」という問題も多い。そのため、過去問を中心に勉強しつつ、IT動向や様々な企業の業務について、常にアンテナを高くして情報を仕入れるようにすることが重要となる。
勉強方法概略
 時間に余裕がある人や基礎から学習したい人は学習用の参考書を利用して基礎から学習することをお勧めしたい。そのほうが、より幅広い知識を体系的に得られるので、午後1の解答にも役立つし、論文へも応用できると考えられるからだ。
 ただし、時間が無い人や、業務経験が豊富で基礎学習が不要な人は、いきなり過去問を演習することで対応するということも考えられる。
 当wikiでは、まずは参考書を読んでから学習を開始する参考書重視コースと、いきなり過去問演習から開始する過去問重視コースをお勧めしたい。それぞれ個人の状況やスキルに応じて適当と思われるコースを選択してほしい。
  • 参考書重視コース
    • まずは参考書を一通り読み、基礎を学習してから過去問を演習するコース
    • はじめて試験を受ける人、コンサルの経験がない人、時間的余裕がある人におすすめ
  • 過去問重視コース
    • いきなり過去問演習から始めるコース
    • 過去問演習でわからなかった項目は参考書を辞書がわりに利用して理解していこう
    • コンサル経験者、過去に何度か受験して論文で通過できない人、時間的余裕がない人におすすめ
勉強方法
基本的な流れ
 基本的にはSTEP1から順番にこなしていこう。基本情報技術者、応用情報技術者試験に合格していない人は、いきなりの合格はかなり難しいと思われる。なので、まずは基本、応用のどちらかを取得してから挑戦したほうがいいだろう。
 参考書重視コースの人はSTEP1から、過去問重視コースの人はSTEP2から開始していこう。
  • STEP1 基礎知識の学習
    • 参考書を読み基礎的な知識を学習する
  • STEP2 午前2演習
    • 午前2の過去問を解き演習する
  • STEP3 午後1演習
    • 午後1の過去問を解き演習する
  • STEP4 論文の準備と論文演習
    • 論文を書くために必要な準備をする
    • 実際に論文を記述して演習する
STEP1 基礎学習
 まずはITストラテジストとして必要となる経営に関する知識を学ぶのがSTEP1。経営分析手法、経営戦略、各種経営分析ツール、経営手法などを勉強していく。
 ITストラテジストの問題を読んでいると「ああ、これはこういう経営分析手法のことを言っているんだな」と思える文章に出会うことがある。つまり、その手法に関する知識があればそれだけ解答しやすくなることになる。経営指標に関する言葉もサラッとでてくるので、そのあたりのワードを理解していると、さらに解答がしやすくなる。
 例えば間接費とか、非定型業務とか、売上高原価率とか、そういうワードを臭わせる言葉がでてくるので、そこを想像できるようにならないと解答をはずしてしまう可能性が高い。従って、まずは分析ツール、経営手法、経営理論などに関する基礎知識を押さえておくようにしたい。
 これらの基礎知識は、具体的には学習用の参考書を利用して勉強していこう。いきなりすべてを暗記するようなことは無理なので、一通り読んで理解したら午前2の過去問演習を行いつつ、わからない部分については参考書などを再度確認して知識を増やしていくようにしよう。
 学習用参考書を読み、一通りの体系を理解したらSTEP2に進もう。
STEP2 午前2演習
 実際に午前2問題を解き、演習するのがSTEP2だ。
 学習のポイントは、正答ではない「選択肢」についても、それが何に対して記述されているのか理解できるかを確認すること。もし間違ったり、意味のわからない選択肢が一つでもあったら「正の字」で間違えるたびにチェックをすること。あとから見直すと正の字で間違った回数がわかるので、数が多ければ多い問題の分野が苦手分野と考えられるので、参考書で学習をしよう。
 また正解でない選択肢についても、その意味が理解できるか確認すること。
 平均で午後2の過去問を80%程度正答できるようになったらSTEP3に進もう。
STEP3 午後1演習
 午後1の過去問を解いていくのがSTEP3だ。過去問を解いて慣れていくことを重点において勉強していこう。
 午後1の解答テクニックについては、テクニック用の参考書を利用して勉強することが望ましい。そのあとに実際に過去問を解いて慣れていこう。過去問は最低でも過去4年分程度解くのが望ましい。すべて解いたらSTEP4に進むが、時間があれば2周ぐらいしておくことが望ましい。
STEP4 論文の準備と論文演習
 午後2も過去問を解くことが学習になる。これも実際に論文を書いてみることで勉強するわけだが、まずは「章立て→骨子の作成→エディタ演習→手書きで演習」というように手順を踏んでいったほうがいいだろう。
 章立てや骨子の作成は最初は難しい。なのでテクニック用の参考書や、論文事例集の論文を読んで、ああこういう感じでいいのかというのを確認しておくと安心できるだろう。
 このあたりの詳細は本ページの下部に記述してあるので確認してみてほしい。
勉強スケジュールの作成
 学習には簡単でいいからスケジュールを決めておくことが重要だ。進捗が遅れだすと勉強しなければならない危機感を感じるので、学習する意欲が増すようになる。
 具体的な勉強スケジュールに対する考え方は下記の別ページで解説しているので参考にしてみて欲しい。
ITストラテジスト試験の勉強法まとめ 午後1対策
勉強テクニック 午後1
基本的な勉強方法
 実はITストラテジストの試験勉強は、これといって特効薬的な勉強方法はないと言っていい。文章を読んでみると、わりと常識的なことが書いてあるので、ある程度の知識があればわりと簡単に答えられてしまうのではないだろうか?
 ITストラテジストの試験は、企業が一般的に抱える「問題」をIT技術を利用して解決することに対して実施される試験なので、専門知識がなくともある程度、常識的な内容にならざるを得ない。なので、よく考えれば当たり前のことが書いてあるので、特効薬的な勉強方法はなく、普段からITに関する全般の知識と、経営に関する基本的な知識を得ることが重要となる。
 普段からアンテナをより高くして情報収集をするのは大事であるが、試験対策としては、とにかく過去問を利用して勉強していくことが合格への近道である。
時間を計測する
 午後1問題は90分で4問の中から2問を解答する。解答を選択したり、チェックする時間を考えると、35分で1問ぐらい解くぐらいがちょうどいいと思う。午後1の問題を解くときは、かならずこの時間で行うこと。過去問題はもっと時間が短い計算になると思うけど、過去問も現試験にあわせて35分で練習するのがいいと思う。それは時間の使い方や感覚を覚え込ませるためだ。
問題は印刷する
 問題や解答は必ず印刷して、それで解答するようにしよう。両面印刷せず片面印刷だけだと、百数十枚になるけど、印刷はしたほうがいい。PDF上だと読みにくいし、問題文にメモ書きができないしアンダーラインも引けない。印刷して演習するのとPDFで演習するのとでは紙をめくる時間が意外と異なるので、ちゃんと印刷するのがお勧め。
 解答用紙も印刷しておくと、実際の解答文字数をマス目に当てはめて検討できたりするし、まれにわかりにくい設問があって、解答用紙をみて初めて2種類の解答を求められていることがわかったりする場合もあるので、問題と解答は必ず印刷して解答しよう。解答用紙はネットで公開してくれているものがあるのをそれを利用するといい。
復習方法
不正解の3つのパターン
 採点後に重要なのは、不正解だった問題について理由を分析することだ。採点して一喜一憂するのではなく不正解の問題に対して、なんで間違ったのかを分析して修正していこう。
 数多く問題を解いてみるとわかると思うが、解答をミスしてしまう理由は主に以下の3つにわかれると思う。
  • 問題文中のヒントそのものに気がつかなかった
  • 問題文中のヒントの選択を間違えた
  • 問題点や改善点を思いつくことができなかった
ヒントそのものに気がつかなかった
 ITストラテジストの午後1問題は、試験の内容上当たり前だが問題文中にヒントが記述されている。一般的には業務に関する問題点や顧客の要望として記述されていることが多く、例えば「料理の提供が遅れている理由を説明しない」とか「料理の材料が余ることが多い」とか「手作業による作業では注文を受けきれない」などとして記述されている。
 そして設問としては、概ね「このシステムを導入することで改善できる点を述べよ」などという問題がでるので、問題文中の業務に関するヒントは非常に重要となるわけである。
 このときヒントに気がつかないのは致命的だ。恐らく読み飛ばしてしまったか、ちょっとした内容だと思って頭にとどまることがなかったからだと思う。採点後にヒントに気がつかず間違ってしまった問題に対して、まずは気がつかなかったヒントが問題文中のどこに記述されているのか探し、アンダーラインを引いて確認しよう。そしてもう一度問題文を読んでみて、なんで自分がヒントに気がつかなかったのかを確認しよう。
 そのミスはしっかりと問題を読めば気がつくことが多いので、次回からは問題文をしっかり読んでヒントを見落とさないようにしよう。
問題文中のヒントの選択を間違えた
 これはヒントには気がついていたが、解答となり得るヒントが複数あり、その選択を間違えてしまうパターンだ。
 この間違いに関しては、まず自分が選択してしまったヒントとなる部分にアンダーラインを引き、さらに正解となったヒントにもアンダーラインを引いて、なぜ正解となるヒントを選択できなかったのかを分析しよう。
 このタイプを間違ってしまう場合、基本的なこととして以下の3つの間違いを犯していることがよくあるので解答時には気をつける必要がある。これらについては後述する解答テクニックの項目で詳しく記述しているので参考にしてみてほしい。
  • 設問の前提条件を見落としている
  • 経営戦略や経営状況を理解できていない
  • 業務プロセスの改善で対応できる内容か、システムの変更が必要な内容か見落としている
問題点や改善点を思いつくことができなかった
 これは例えば「複数ある倉庫を一つの倉庫に集約することで実現できることは何か」というように回答者の知識を求められる問題である。実現できることとしては例えば具体的に「在庫管理を一括で行えるから管理コストが下がる」「発注量の少ない在庫を重複在庫する必要がないので在庫を削減できる」「品切れ防止のための余剰在庫を、倉庫ごとに保有する必要がなくなるので在庫を削減できる」「一括して発送できるのでコスト削減になる」「一括仕入れができるので仕入れ先と値下げ交渉ができる」などということが考えられる。
 これらは問題文中にはヒントはないので、あらかじめ知識としして持っていなければ答えられない。従って過去問を解いたり、様々な文献を読んだり、業務に接するさいに、常にアンテナを高くしておき、どのような業務変更をするとどのような効果が得られるのかといったことを発見し覚えておくことが望ましい。
解答テクニック 午後1
問題選択の方法
 まずは問題を選択する方法から考えよう。
 ITストラテジストの午後1の問題は、主に通常のソフトウェアを利用したシステム開発が3問と、組み込み機器の問題が1問出題され、その4問から2問を選択することになる。組み込み機器の問題でも比較的に常識的な問題なので、組み込み機器のことを知らない人でも答えられる内容だ。
 問題の選択の方法は、まず全体的にざっと問題を読み、読み慣れていない内容や、いまいちすぐに理解できないような内容だったらパスすることを検討しよう。
 途中で、ちょっとこの問題は難しいかな?と感じたらどうするか。もし問題を読み始めて時間が15分経過していたら、もうアウトと割り切ったほうがいい。その時点でかなり焦ることになるので、全体的に問題に集中できなくなってしまう。なので、問題を選択して読み始めてから15分が、他の問題に変更可能なぎりぎり時間と考えて、その時間内で決断をするようにしよう。
問題文を読む上でのポイント
 問題を読む時のポイントをいくつか書いていく。
経営戦略の方針は最初に絶対に確認しておく
 経営戦略については必ず絶対に最初に確認をしておくこと。経営戦略が現状維持なのか、拡大なのか、それとも売上高を増やすのか、利益率を向上させるのかでは考え方がまったく異なってくる可能性があるからだ。例えば利益率の向上だと原価の削減、在庫の削減、管理費などの削減ということが真っ先に考えつく。売上高の向上だと単価を上げる施策か販売数量を上げる戦略を思いつく。
 解答時に二つの可能性から悩んだとき、経営戦略の方針を覚えておけば、そのどちらが可能性が高いかが理解できる可能性もあるので、最初に経営戦略の方針を探すことは非常に重要となる。
問題点や改善すべきポイントは、旧システムでも可能か、新システムで初めて改善できるものか確認する
 問題文に典型的に記述されている内容として「業務の何々を改善したい」とか「こうしたいが今はできていない」と記述されていることがよくある。ここはもちろん重要なポイントなのだが、もう一つ深く考えて、それがなんで「できない」のかを考えるとより解答しやすくなる。
 具体的には、その「できない」「改善したい」のが、現在のシステムでもできることなのか、それとも新システムを作成しなければ改善できないことなのかということだ。もし、新システムでなければ改善できないような内容は「新システムで改善できることは何か」という問いの最有力候補となる。逆に、新システム導入前にも業務プロセスの変更で対応できる事柄であれば、「新システム導入にあたり改善しておくべきことは何か」という問いに対しての最有力候補になる。
 問題文を読んでいると、改善すべきポイントや、「できていないこと」が多数でてくるため、設問によってどれを選択していいか悩むことも多いが、このように新システムを導入して初めて改善できることと、現在のシステムであっても改善できる事柄かで区別しておけば、解答の手助けにもなる。
設問の前提条件を確認しておく
 設問には前提条件が記載されていることも多い。例えばこのような感じだ。
  • 設問1 一般顧客向けサービスとして行うべきこととして次の(1)、(2)に答えよ
    • (1)他社と比較して競争優位を保てめるようにするために新システムに実装する機能を述べよ
    • (2)・・・・・
 この問題では「一般顧客サービス」に対して行うべきこととして答えよという設問になっているが、この「一般顧客向けサービス」という部分を見落としてしまうと、まったく見当違いの解答になってしまうこともある。このように設問に、どのような観点からの解答を求められているのかというのは見落としやすい点でもあるので注意が必要だ。
問題文へのマーキングの方法
 問題文を読んでいると「おかしいな?」「重要かもしれない」と思う部分がいくつかでてくると思う。いろいろなところで、そういう文章がでてくるから大変だが、それぞれアンダーラインを引いておこう。こうすることで、後から読み直したときに、どこに重要なことが書いてあるか、ぱっと目でわかるからだ。焦っていると見逃してしまうことがあるので、マーキングしておくとすべてを簡単に見直すことができるのでお勧めだ。
 このとき、ただアンダーラインを引くとアンダーラインだらけになって判別しにくくなる可能性がある。その場合は問題文の余白に、例えば「客の要望」のアンダーラインを引いた場所であれば○客(○の中に客の漢字)などとして、分かりやすくしておくといいだろう。
 以下、主なマーキングするべき場所を記述する。
会社が実行しようとしている経営戦略の説明部分 ○経
 前述の通り経営戦略方針を記述している場所は最重要ポイントだ。かならず見つけ出してチェックしておくこと。
客の要望部分 ○客
 次に客の要望部分や客が不満と感じているところも重要事項だ。これは客からの要求なので早急に解決すべき部分になる。
現在の問題点 ○問
 これは企業が対応できていない部分や実現できていない部分だ。ここを改善することで会社が実施する経営戦略が実現できるような場合には最重要ポイントとなる。
システムを変更することで実現できる事 ○シ
 システムを新しくすることで実現できることが記述されている場合もある。ここも重要なポイントとなる可能性があるのでチェックをしておこう。
他社の成功事例 ○成
 他社の成功事例や、他社はこうして利益を上げているみたいなところはかなり重要なポイントだ。自社でも同じシステムを導入することで解決ができ、それによるデメリットが記述されていないのならば、これはかなり重要なポイントとなる。
解答パターンの暗記
 午後1の問題では、ある程度の解答パターンみたいなものが存在する。それらを記憶の片隅においておくと試験で答えやすくなるので、これらについては覚えておこう。
まとめて発注すると価格を安く交渉できる
 仕入れ先へまとめて発注することで、そのぶんの輸送コスト、仕分けコストなどの圧縮が実現でぎる。なので仕入れ先に商品納入価格の値下げを交渉するというパターン。
新システムへのデータ移行の方法の検討
 新システムへ移行する場合、現在のシステムのデータをどのように流用するかが問題になる。新システムへの移行で気をつけなければならないことみたいに問われた場合、データ移行の方法について問われている可能性があるので注意しておく必要がある。
旧システムと新システムのフィットギャップ分析
 新システムを旧システムと異なる会社へ発注するような場合、旧システムにある機能で、新システムにはない機能を、旧システムの製作会社に聞いたりする必要がでてくる。
新システム導入による現在の業務プロセスの変更
 新システム導入において、現在の効率の悪い業務プロセスをあらかじめ変更しておこうというような場合もある。そのときに「新システム導入時にしておくべきこと」というような意味合いで、現在の業務プロセスの問題点を解答させる問題があるので注意をする必要がある。
生産管理システムと販売管理システムを結合することで、納期が速く伝えられる
 販売管理システムと生産管理システムが結合していないと、いつになったら自分の注文した製品ができあがるのかわからない。しかし現在の生産状況がわかれば、あと何日でできるかな?みたいな感じで理解できる。販売と生産管理システムが結合することで、製品の納期を顧客におおよそでもすぐに伝えられることができるわけだが、それを問う問題は典型的な問題だ。
生産管理システムと販売管理システムを結合することで、受注状況から生産計画を立てやすくなる
 これも同様で、受注状況がわかれば、生産部門は生産の計画を立てやすくなる。生産管理と販売管理が結合することのメリットとして聞かれる可能性がある問題である。
倉庫の集約で在庫数量を削減できる
 倉庫が複数あると、それぞれ一定の最低限の数量の在庫を保有する必要があるが、複数の倉庫を統合するとそれを削減できる。倉庫や物流センターを統合することで聞かれる可能性のあるメリットである。
倉庫の集約で生産計画を立てやすくなる
 こちらも同様に倉庫や物流センターを統合すると、それだけ商品の動きを把握しやすくなるので生産計画も立てやすくなる。
他社の成功事例を参考にして自社の業務プロセスを改善する
 競合他社が実施し成功している施策は非常に重要なポイントだ。もし自社がその施策に対応していないのであれば、自社に導入すれば成功する可能性がある。
リアルタイムな情報収集によってきめ細やかなサービスを提供する
 新システムを導入することで、これまでリアルタイムに理解できなかった「設備の稼働状況」などを把握できるようになる。そうするとその設備の稼働時間から点検が必要となるタイミングを把握できるようになり、事前に点検を行うことで故障することを防止することなどが可能になる。
モバイル端末を利用することで、リアルタイムな状況を把握できる
 営業活動などで、客先でモバイル端末を利用することで、生産状況、納期などの情報をリアルタイムに提供することでサービスの向上が可能になる。

ITストラテジスト試験の勉強法まとめ 午後2対策
勉強テクニック 午後2
解答知識エリアの絞り込み
 ITストラテジスト試験の論文は、主に通常のソフトウェア開発に関する問題が2問、組み込み機器に関するものが1問出題され、その中から1問を選択する。そのため、あらかじめどちらかに絞って演習をするとやりやすいだろう。常識的には問題に選択の余地があるシステム開発に関する論文を選択するのが望ましいく、実際に組み込み聞きに関する見識が広い人以外は、システム開発の問題を選択したほうがいい。当wikiでは基本的にシステム開発の問題に対して述べるものとする。
情報システムの開発の流れを理解する
 はじめてITストラテジストの論文を学習する人は、論文でどのようなことを記述すればいいのか迷うと思う。そういう人は情報システム開発の全体の流れを一度勉強することをお勧めしたい。開発には流れがあるので、その前提でシステム開発が進んでいくため、大まかな流れとして論文が記述し易くなるからである。
 情報システムの開発にはIPAが考えている簡易的な流れがある。これを学習しておくと、論文問題に記述されている状況が、どのような段階にあるのかを理解できるようになる。そうすると、どういう観点で論文を記述すればいいか、より分かりやすくなる。
 具体的には、こういう流れで情報システムは開発される。
  • 1)経営戦略に基づく情報技術を活用した事業戦略の策定
  • 2)情報技術によるビジネスモデルの策定
  • 3)事業戦略の実現可能性の確認
  • 4)情報システム戦略の策定
  • 5)全体システム化計画の策定
  • 6)個別システム化構想・計画の策定
  • 7)適切な個別システムの調達
 他にも論文の問題で全体システム化計画の策定段階で設問もそれに関する設問であるのに、主に個別システム化計画について論じてしまうと的を外してしまう可能性があるが、その防止にも活用できる。
 なお、それぞれの段階で具体的にどのようなことを検討し決定するのか、IPAのITストラテジストのシラバスをみると詳しく記述されているので、それを調べておくと論文の参考になる。
意思決定手法を暗記する
 ITストラテジ試験の論文では、なぜそのような手法を採用したのかという合理的な説明がないと説得力に欠けるものになってしまう。例えば複数の経営戦略や改革手法を立案し、そのうち一つを選択するときに、なんでそれ選択したのかという合理的な説明の記述が求められるわけだ。
 例えば飲食業で料理を運ぶ店員の人件費を削減しようと思ったとき、その手法はいくつか考えられる。例えば「回転寿司のようにレーンで運ばれるようなシステムを導入する」でもいいし、「バイキング形式にする」という手法も考えられる。他にも「店員の担当するテーブルの範囲を決め合理的に料理を運ばせることで従業員の雇用を最低現にする」という手法も考えられるだろう。いずれも人件費の削減方法として正解なのだが、ではなんでその中から一つを選択したのか?という「何か」が必要になるわけである。
 それが、下記に示す「意思決定手法」を利用することで合理的な説明ができる。例えば、「リサーチした結果、同業者他社で成功している」や「専門家の意見」などである。他にも設問によっては「費用対効果を検討した結果、長い目でみると最もコストが低くなるという分析結果がでたから」というのもいいだろう。
 このように、経営者が立案した経営方針、事業の特性、他社との競争の動向などとうまく絡めて、下記の意思決定手法のうちいずれかを選択し、複数の戦略や手法から一つを選択したというような論文にするとさらに説得力が増す。
強制力のある指示
  • 法律の変更
  • 経営層からのトップダウン
  • セキュリティの向上
  • コンプライアンス遵守
分析手法
  • SWOT分析
  • 4P分析
  • 費用対効果の検討
  • ABC分析
  • 時間分析
ツール
  • マトリクス図法
  • パレート図
  • 特性要因図
  • マインドマップ
リサーチ
  • 他社の成功事例
  • 客からの要望
  • 専門家の意見
構想立案時の工夫を暗記する
 過去の論文問題の文中にはITストラテジストとしての行動指針がいくつも書いてあることがわかると思う。これらをワードとして覚えておくと論文の記述にも利用できるし、午後1問題において問われる「解決手法」への解答としても利用できるので、覚えておいて損はない。
 例えば、要員の教育で工夫したことを述べる必要があった場合、下記の「運用、保守、教育での工夫」の項目から、教育に利用できそうな工夫を抜き出す。すると、「チェックリストの利用」「教育と教育計画」「職位レベルと給与の見直し」「資格の取得」などが利用できそうなワードとして存在していることがかる。
 そこで、これらのワードちりばめて論文を作成する。例えば、「システム稼働前に、システムを利用する従業員の教育を行うための教育計画を立案した。さらに知識を高めるために資格を取得させ、能力によって給与体系を見直した。システム運用時にはチェックリストを活用させ、システムの利用を促進させた」などというようなストーリーを簡単に作ることができる。
 具体的には以下のようなものがワードとなる。それぞれ覚えておこう。
業務改革時の工夫
  • 人員を特定業務に専念させる
    • なぜ人員を業務に専念させることが工夫になるのか?それは参考書で学習しよう。以下すべてで行うこと
  • 定量発注、定期発注
  • 組織の役割、構成の見直し
  • コミュニティの活用
  • 過剰業務、重複業務の廃止と削減
  • 業務プロセス分析
情報システム戦略での工夫
  • IT化による商品の差別化
  • 複雑な判断が必要になる作業をIT化によって軽減する
  • 他社の成功事例を参考にする
  • 過去の売り上げなどのデータを分析して活用する
  • 拠点、支店間のデータ共有
  • 既存のソフトウェアパッケージの利用
  • 新しい業務やシステムをアウトソーシングする
  • シェアードサービスの利用
  • 作業のIT化による自動処理
  • 経験や知見を組織で共有する
  • 意思決定の支援
  • 重要度、緊急度、戦略性、投資額、効果の総合的評価
従業員、部門に対しての工夫
  • 情報システム化推進委員会の設立
  • 担当者からのヒアリング
  • 各部門に協力させる
  • 利害関係の明確化
  • 業務革新の目的やゴールの共有
  • 利害関係者とのコミュニケーション
  • トップダウンアプローチ
  • ボトムアップアプローチ
システム設計時の工夫
  • カスタマイズ可能な設計
  • システム間連携の工夫
  • プロトタイプ手法
  • Webサービス使用の必須化
  • SOA化
  • Web(SaaS)化
  • ソフトの事前評価
  • 既存システムの流用
  • オープンシステムの利用
  • クラウドの利用
運用、保守、教育での工夫
  • 意識改革、業務プロセスのモニタリング
  • フォールバック計画
  • 管理者の意識改革
  • チェックリストの利用によるシステム活用の促進
  • 教育と教育計画
  • 職位レベルと給与の見直し
  • 資格の取得
  • グローバルサポートの活用
  • 災害時のリスク管理
  • キャリアパス、ローテーション制度の活用
策定した施策を説明する際の工夫
  • 定性的な内容も数値化するなど定量化してわかりやすく説明する
  • 複数案を並記して比較する
  • 複数案について、それぞれの効果や費用を比較する
事前にストーリーを5つ用意しよう
 ITストラテジスト試験の論文問題は、非常に様々なものが出題される。そのため論文の事前準備というのは難しいが、それでもだいたい大まかなパターンがある。それを事前に準備しておくだけでも、かなり本番での解答が楽になると思われるので実際に用意しておこう。出題される可能性の高い用意すべきストーリーのパターンは以下の通り。
用意するストーリー1 業務プロセスのIT化による効率化
 もっともよく出題されるパターンの一つ。既存の業務プロセスをIT技術を利用することで効率化するというストーリーである。例えば居酒屋で、これまで手書き伝票だったものをハンディターミナルを利用して効率を高めようというようなものだ。
  • 応用可能と思われる問題 2004年問3 2008年問1 2009年問1 2010年問1 2013年問2 2014年問1
  • ※2008年以前はシステムアナリストの論文問題(以下同様)
用意するストーリー2 リアルタイムな情報収集と情報提供
 これは経営者が経営活動の指標をリアルタイムに収集し経営判断に活かせるようなシステムや、非定型業務などを効率化させるために情報提供をするシステムを作成するというストーリーだ。具体的には、本部が各地の工場の在庫をリアルタイムに閲覧できたり、在庫不足による発注を助けるために将来の予想受注数を発注担当者に提供するシステムなど。
  • 応用可能と思われる問題 2004年問1 2007年問3 2012年問1 2013年問1
用意するストーリー3 IT技術を導入による業務プロセスの変更
 これはシステム導入によって業務プロセスを変更しなければならないパターンで、これもよくあるパターン。例えばERPパッケージの導入で、ERPの導入にあわせて業務プロセスを変更する必要がでてくるというような論文を用意する。他の出題例としては「ソフト導入時に現在の業務プロセスを最適化することで業務の効率が良くなる。どのように最適化したか?」などというものもある。
  • 応用可能と思われる問題 2006年問2 2008年問2 2010年問2 2011年問2
用意するストーリー4 全体最適化計画で個別システム化計画の開発の優先順位を決める
 これは全体最適化計画で、複数ある個別システム開発の優先順位や投資金額を決めるパターン。例えば、受注管理、生産管理、在庫管理など複数のシステム導入が決定しており、そのどれから開発していけばいいかを決めるようなストーリー。これもよくあるパターンなので用意しておく。
  • 応用可能と思われる問題 2005年問3 2006年問1 2008年問3 2015年問2
用意するストーリー5 全体最適化計画でシステム化方針を策定する
 これは全体最適化計画で、個別システム開発の基本的なシステム化方針を決定するパターン。例えば、各システムの接続方式を専用線にするかインターネット経由にするか、情報のやりとりの方法をSOAにするなどというストーリー。これも頻出問題なので、事前に準備しておこう。
  • 応用可能と思われる問題 2005年問2 2007年問1 2012年問2 2014年問2
ストーリーの詳細の事前準備
 ITストラテジスト試験論文問題では、経営に関する問題点を答えさせ、それをIT技術を利用して改善していく様子を工夫した点を含めながら返答させるようなパターンが多い。なので、それぞれのストーリーについて、ただなんとなく用意しておくのではなく、携わった会社の現在の事業環境はどのようなものであるのか、ライバル会社の動向はどうなのか、会社は経営戦略として今後どうすべきと考えているのかまで考えておくことが望ましい。
 さらにシステム化構想を策定するにおいて、なぜそのシステム化構想を立案したのか説得力のある理由と、構想立案時に発生するでろう問題や経営課題に対しどのような工夫をして問題を解決したかを考えておくことが望ましい。こうすることで「ライバル出現→売り上げ減→自社の製造コストが高い→IT技術を利用して生産コストを下げる→その時に工夫したこと」という一連の流れを、事前に用意されているため矛盾なく論文を答えられるからである。
 特に「工夫したこと」は、問題点とセットに5つぐらい述べられるようにしておいたほうがいい。数が少ないと論文の設問内容によって答えられないパターンがでてくるし、設問イで「工夫した点を述べよ」設問ウで「さらに改善できる点を述べよ」が出題される可能性を考えると最低2パターンは必要になるからだ。
 「分析」の項目では、どのような分析をして意思決定したのかを具体的に用意しておく必要があるわけだが、これは前述した「意思決定手法」の中から選択するようにすると作りやすくなる。
 また、「用意する工夫」の項目に関しても同様に、前述した「構想立案時の工夫」の中から選択するようにするとストーリーが作りやすくなるだろう。
 具体的には、以下のようなストーリーを事前準備しておくのが望ましいので参考にしてみてほしい。
  • 居酒屋にシステムを導入するストーリー
  • 事業環境
    • 他の安い店舗の出店攻勢で競争が激しい
  • 経営戦略
    • 原価を削減し、そのぶん良い材料を購入し同価格でも料理品質を高める
    • 主に削減するのは人件費と原材料費
  • 分析
    • どの作業にIT技術を適用できるか業務プロセスを調査しアクティビティ図にまとめ分析する ← 暗記した意思決定手法(アクティビティ図)
    • 従業員がどのような作業をしているか時間を計測して調査し、付加価値を生まない業務を分析いる ← 暗記した意思決定手法(時間分析)
  • 分析結果
    • 出品数の予測に失敗し材料破棄が多い
    • 発注業務に時間が非常にとられている
    • 伝票管理などの管理業務に時間が非常にとられている
  • 分析した結果の問題点をIT技術で解消する施策
    • 出品数の予測に失敗する
      • 過去の季節、天候、温度が似た日の料理出品数が表示できる新レジPOS導入 ← 暗記した構想立案時の工夫(意思決定の支援)
    • 発注に時間がかかる
      • 業者への発注が可能な新レジPOSの導入 ← 暗記した構想立案時の工夫(IT化による自動処理)
      • グリーンサラダ3人前=レタス1個のように簡単に分量へ変換して発注できるようにして業務を効率化させる ← 暗記した構想立案時の工夫(IT化による自動処理)
    • 伝票管理に時間がかかる
      • 新レジPOS導入で伝票の本社一括管理とし負担を軽減 ← 暗記した構想立案時の工夫(データ共有)
  • 問題点をIT技術で解消する際に行った工夫
    • 新規レジPOS導入はコストが高い
      • オープンシステムを利用したレジPOSで安価に ← 暗記した構想立案時の工夫(オープンシステム)
      • エントリシステムは既存のものを流用 ← 暗記した構想立案時の工夫(既存ソフトの利用)
    • システムによる出品数予想は必ずしも正確ではない
      • 過去の出品数を表示し従業員が補正できるように ← 暗記した構想立案時の工夫(意思決定の支援)
    • ランニングコストの削減
      • データ量が少なくセキュリティの観点からモデムを利用し電話回線で通信 ← 暗記した構想立案時の工夫(システム間連携の工夫)
    • セキュリティ向上
      • 登録された電話番号からしか受話できないようモデムに設定する ← 暗記した構想立案時の工夫(システム間連携の工夫)
筆記用具を揃える
 学生の頃はどんな筆記用具でも余裕で長文を書けたようなイメージがあるけど、書き慣れなくなると筆記用具で長文を書くのが辛くなっていたりする。
 それでも良い筆記用具を使うと疲れずに長文をかけるようになるみたい。
 いろいろな筆記用具関連のサイトを見ると、手の疲れは筆圧や書き方、筆記用具の性能に依存するようなので、自分の使いやすい筆記用具を使うとかなり改善されるようだ。
 自分も筆圧が強くすぐに手が疲れて困っていたけれど、筆記用具をいろいろ試して、長文を書くごとに疲れずに書けるような方法があることに気がつくことができた。疲れて長文が難しい人はいろいろ試してみるといいと思う。
 自分が、実際に使ったのは、三菱鉛筆のαGELグリップのクルトガ機構搭載タイプ、パイロットのドクターグリップ。替え芯はぺんてるのハイポリマー For Proの2Bの替え芯。
原稿用紙を用意する
 手書きで練習する際には実際に原稿用紙を用意して記述するようにしよう。レポート用紙などに手書きで記述していると、どうしても文字サイズが異なるので本番時に違和感を感じてしまうからだ。
 本番の解答用紙は手に入れることができないが、サイズはA4でそこに400字を記述するような解答用紙なので、市販のA4サイズの400字詰め原稿用紙を購入して実際にそれで手書き練習をするのがおすすめ。実際にマス目の大きさにも違和感なかったし、本番に近い環境で練習できるのはきっとメリットがあると思う。
論文の記述方法と学習
基本的な勉強の流れ
 いきなり論文を記述するのは苦労すると思うので、まずは過去問に対して「章立て」と「設問からの抽出」を作成してみよう。問題文に沿った章立てと設問からの抽出を作るのが最初は少し難しいが慣れると簡単にできるようになる。これができるようになると、論文が求めている内容に沿って論文がかけるようになるわけだ。
 そしたら、次に章立てに従って骨子を作成する。骨子を作成するのは最初は苦労するかもしれないが、この骨子を作る過程が勉強になる。骨子を作成していくと、事前準備したストーリーと合致しないような部分がでてくるので、そういうのがでてくるたびにストーリーを変更したり追加したりしてストーリーをブラッシュアップしていこう。
 骨子を作れるようになったら、次にエディタで論文を実際に記述する。
 論文問題に必要な技術は、問題の解答力(構成力)と、手書き能力だと思う。でも、解答力と手書き能力は一致しない。最初から手書きで練習し疲れてしまうと途中で飽きて面倒になってしまう。だから、ある程度できるようになるまで、エディタを使って構成力を養うほうがいいと思う。それで慣れたら手書きで記述して長文を時間内で書く練習をするのが効率がいい。
 自分も論文の演習はすべてエディタでやって、直前の数週間で実際に手書きして手を成らす感じで勉強をした。おかげで効率良く論文の学習ができたと感じている。
 使用するのは、より軽量なエディタのほうが便利。論文では文字数を気にする必要があるので、等倍フォントが利用でき、行数が表示されるエディタがいいと思う。
 例えば秀丸エディタのようなものがお勧め。1行を25文字で記述すれば、4行で100文字。8行で200文字というように計算がしやすい。
  • 論文の勉強の流れ
  • STEP1 章立て
    • 問題文の読解力の向上、問題文作成者の質問意図を理解する能力の向上のため
    • まずは章立てを作ることに専念する。過去問全てに対してやってみよう
      • 章立てすることで、どんな問題が出題されるのかも学習できるはずだ
  • STEP2 設問からの抽出
    • 問題文の読解力の向上、問題文作成者の質問意図を理解する能力の向上のため
    • 次に設問から解答すべき項目を抽出する作業。これもSTEP1で作成した骨子に対して行ってみよう
      • なんとなくこういう論文が書ければいいかのな?と考えながら抽出していこう
  • STEP3 骨子作成
    • ストーリを短時間で作る構成力の向上のため
    • 経営戦略を実現するためのシステム化構想を立案するための知識の学習
    • STEP2で作ったものにストーリーの骨子を当てはめていく作業。ここが一番苦しいが頑張って骨子を作ろう。
      • この段階で用意すべき5つのストーリーと、その詳細について作成していこう
      • またこのページで紹介している「意思決定手法」「構想立案時の工夫」について、それぞれ学習していこう
      • ストーリーができたら、それぞれの問題に対して骨子を作成して演習しよう
      • 途中で矛盾等でてくるので、その都度ストーリーをブラッシュアップしていこう
  • STEP4 エディタで実際に論文を記述
    • 論文らしい言い回し、知識や定量的表現の入れ方などの学習
    • すべての過去問で骨子が作れるようになると、ほぼストーリーの事前準備も終わったはず
    • 次は実際にエディタで論文を記述して、言葉の言い回しや知識の挿入方法について学習しよう。
      • これまでに作成した骨子やストーリーに基づいて論文を実際にエディタで書いていこう
  • STEP5 実際に手で論文を記述
    • 長文を書く筋力やテクニック等を実際に身につける
STEP1 設問から題目を作成する
 論文は問題を読んで順番に論述しようとすると、解答する内容がブレてしまうことが多い。だから、最初は問題を読まず、どんな解答を求められているか設問から章立てをすることがぶれない解答をする近道だ。
 もちろん実際の試験では3問中1問を選択するので、問題を読んで選択するわけだけど、実際に解答するときは設問から章立てして、それから問題文を熟読して解答するのが合格への近道となる。
 例えば、平成24年の問1を問題文を読まずに設問だけで章立てするとこのような構成になる。
1 私が携わったITを活用した事業戦略の策定について
1.1 事業特性
1.2 前提となった競争戦略
2 策定した事業戦略について
2.1 **********
2.2 **********
2.3 **********
3 事業戦略の提案方法とその評価について
3.1 事業責任者への提案と評価
3.2 今後の改善点
 これが求められている内容をすべて網羅した章立て=論文の流れとなる。場合によっては問題文を読むことで多少は変化してくることもあるが、90%ぐらいはこのままの構成が利用できる。こうすることで問われている内容から大きく乖離することなく解答できると思うし、論文を構成することができると思うので、試してみるといいと思う。
 ここで疑問に思う人もいると思う。2.1と2.2が空欄になっていることである。実はITストラテジストの論文問題では設問から2.1、2.2の章立てを作ることが難しい問題が多い。ではどうするかというと、その流れは基本的には問題文中に記述されているので、そこから抜粋することで対応する。
 今回の平成24年論文問題の問1の設問イには「どのような事業戦略を策定したか」との記述がある。そこで問題文をみると、「事業戦略の策定においては~」から始まる分析手法の例が記述されている。2.1、2.2、2.3は、そこに記述されている分析手法の例を引用して章立てをする。どの分析方法を利用するかは、事前に用意したストーリーに最も適用可能なものを選択する。そうすると具体的には以下のような章立てを作ることができる。
2 策定した事業戦略について
2.1 IT技術によって差別化が可能なプロセスの明確化
2.2 業務プロセスのIT化の課題
2.3 策定した事業戦略と活用したIT技術
STEP2 問題文から解答すべき項目を列挙する
 章立てをすることでどのような論文の流れになるか道筋が見えたと思う。この次に、さらにどのような内容の記述を求められているのかを問題文から抜粋して記入していく。こうすることで解答すべき内容を網羅することができるので合格率を高めることができる。
 同じく平成24年の問1。
1 私が携わったITを活用した事業戦略の策定について
1.1 事業特性
 ▼事業特性
1.2 前提となった競争戦略
 ▼他社との差別化、コスト削減、ニッチへの参入などの競争戦略
2 策定した事業戦略について
2.1 IT技術によって差別化が可能なプロセスの明確化
 ▼差別化が可能な業務プロセスの明確化
2.2 業務プロセスのIT化の課題
 ▼業務プロセスをIT化するための課題
2.3 策定した事業戦略と活用したIT技術
 ▼策定した事業戦略と活用したIT技術
3 事業戦略の提案方法とその評価について
3.1 事業責任者への提案と評価
 ▼事業責任者に対して行った提案の工夫
 ▼提案への評価
3.2 今後の改善点
 ▼今後の改善点
 ▼の部分が具体的に回答を求められている内容だ。このように問題文から抜粋して各章に割り振ることで、具体的にどんなことを記述すればいいのかが見えてくる。あとは、この具体例に合わせて骨子を作るだけ。今までエディタでシコシコと論文の骨子を作成して養った構成力が役に立つ。
 章立てができるようになったら、次はその章立てに対して解答すべき項目を作成する勉強をしていこう。
STEP3 ストーリ(骨子)を作る
 あとは作成した章立てに従ってストーリーを考える。最初からいきなりかくと後から整合性がとれなくなることがあるので、最初にうちに骨子を考えてから書き始めるのがお勧め。具体的には、問題選択に5分、章立てや骨子の作成に15分、残りの90分で書き上げて、残りの10分をチェックに使用する感じがベストだと思う。90分で書き上げるのは手書き能力。15分で骨子を作るのは構成力。
 では、実際にどんな感じでストーリーを作るのか。具体的にはこんな感じ。同じく平成24年の問1。ここまでくると問題文をみなくても章立てだけで論文が作れる。これを記述すると時間がかかるから、問題文にアンダーラインを引いたり、章番号を書いたりすることで対応しよう。
1 私が携わったITを活用した事業戦略の策定について
1.1 事業特性
 ▼事業特性
 ※他の店舗の出店攻勢で競争が激しい
1.2 前提となった競争戦略
 ▼他社との差別化、コスト削減、ニッチへの参入などの競争戦略
 ※原価を削減し、そのぶん質の良い材料を仕入れ料理の付加価値を高める
 ※主に削減するのは人件費と材料費
2 策定した事業戦略について
2.1 IT技術によって差別化が可能なプロセスの明確化
 ▼差別化が可能な業務プロセスの明確化
 ※業務プロセスをアクティビティ図にまとめ、流れをわかりやすくする
 ※従業員から差別化が可能なプロセスのヒアリングを行う
 ※専門家の意見を聞く
 ※従業員の活動を業務別に時間計測し、付加価値を生まない業務を把握する
 ※差別化が可能なプロセス→出品数予測して発注を行う非提携業務にかかる時間が多すぎる
 ※差別化が可能なプロセス→予測ミスによる材料の破棄率が高すぎる
2.2 業務プロセスのIT化の課題
 ▼業務プロセスをIT化するための課題
 ※「予測」をシステムで行うことは難しい
 ※課題の解決方法→過去の販売データから似た天候のものを抽出加工し、予想出品数として表示
 ※「予測」は人間の経験が必要で完全IT化は難しい
 ※課題の解決方法→システムの予想出品数を人間が経験をもとに修正を加えられるシステムとする
 ※出品数が予測できても、それを材料に変換するのに時間がかかる
 ※課題の解決方法→予想出品数から必要な材料へ自動変換してくれる機能 例:サラダ3品→レタス1個
2.3 策定した事業戦略と活用したIT技術
 ▼策定した事業戦略と活用したIT技術
 ※レジPOSに予想出品数が表示されるので、最終的に担当者が確認し経験により数量を訂正する
 ※入力した料理の出品数量は、自動的に必要な材料の量に換算され表示される
 ※必要となる材料とその数量は仕入れ先に自動的に発注される
3 事業戦略の提案方法とその評価について
3.1 事業責任者への提案と評価
 ▼事業責任者に対して行った提案の工夫
 ※システム導入による発注業務の作業効率向上でコスト削減が見込まれることを説明
 ※出品数予測アルゴリズムを一部店舗で手計算で実験したところ廃棄率低減の効果があったことを説明
 ※削減効果をわかりやすくするため、導入しない場合と比較した表を提示し説明
 ※また実際の従業員に、このシステムが作業効率を高めることになると発言してもらう
 ▼提案への評価
 ※評価された
3.2 今後の改善点
 ▼今後の改善点
 ※POSは既存ソフトを使用したりオープンシステムを改造し利用するなどしてコスト削減
STEP4 エディタで論文を記述する
 まずは論文をエディタで記述する。エディタで記述すれば短時間で何本も記述できるので効率的に学習できる。手書きでやると途中で飽きたり疲れてしまい継続しないので、効率よくエディタで演習しよう。
 記述した論文は保存しておくこと。後で読み直すと初期の論文が如何に穴だらけであるかわかると思う。逆に言うと論文能力が向上している証拠だ。
STEP5 手書きで論文を記述する
 最後に実際に手書きで論文を書く演習をする。A4サイズの400字詰め原稿用紙を購入して、しっかりと椅子に座って記述してみよう。
 あくまで自分の場合だが、標準的な解答文字数である400字詰め原稿用紙に7枚分書くのに90分ほどかかる。そうすると、章立てや骨子作り、最後の見直し、アンケートの回答に30分で行わなければならないということがわかる。もし、7枚記述するだけで120分ほどかかるとすると、骨子や章立てを作る時間がなくなってしまい、最後は殴り書き状態になってしまうだろう。なので、試験が近くになったらせめて一度ぐらいは手書きで論文を記述して、自分の手書き能力がどの程度のものであるのか確かめるのが望ましい。できれば、どのようにすれば短時間で記述できるのかさぐりながら学習していくのがいいだろう。
書けなかった漢字はメモる
 PCに慣れていると、手書きで漢字がなかなか書けなくなってしまっていることに気がつくと思う。
 論文の演習中にPCを使って文字を調べるのは良いとしても、それだけだとまた忘れて書けなくなる事が多い。なので、書けなかった漢字は、どこかにまとめてメモしておいたほうがいいと思う。で、あとから見直して漢字を勉強する。まったく書けなくなっているのなら、本格的に勉強する必要があるけれども、ちょっとど忘れしている程度ならば、あとから見直せば思い出せるはずなので、メモしておいて、本格的な学習に利用したり、試験前日に見直して記憶を呼び覚ましておくようにしたほうがいいと思う。
解答テクニック 午後2
解答用紙への工夫
 実際の試験では、解答用紙として週刊誌や青年漫画誌のように紙が二つ折りにされ、真ん中がホチキスで留められている冊子が配られる。ちょうど、IPAの各試験の午前、午後の問題冊子のような形状である。その1ページに400字詰め原稿用紙のマス目が印字されている。つまり1ページの裏表に両方記述をすることになる。紙質は厚手の原稿用紙のような感じで、多少、つるつるした感じである。
 ここで二つの問題が発生する。
 一つは裏移りの問題である。1ページの裏表に記述するので、表を書いた後に裏を記述すると表に書いた時が裏移りしてしまうのである。下敷きが使えればいいのだけど、持ち込んでいい筆記用具に下敷きは含まれていないため利用できない。なので特に筆圧の強い人、濃い鉛筆を使うと汚くなってしまい、採点者の印象も悪くなりかねないという懸念がある。
 二つ目の問題は書き心地が変化してしまうことである。説明が難しいけど、週刊誌の表紙に文字を書こうとすると、机と表紙の間に何枚も紙があるので、当然、書き心地は柔らかい。ところが、裏表紙に文字を書こうとすると、今度は机と裏表紙の間には紙が一枚もなく、机と直接接しているので、書き心地が堅くなる。前述の通り解答用紙も週刊誌のように二つ折りにされているので、1ページずつ記述をしていくと、書いてる紙と机の間の紙の枚数が変化してしまう。この変化が以外と苦痛で、このおかげで手が痛くなったりする。そこで、完全に解答冊子を折り返してしまい、机と記述している紙の間の枚数を一定にさせるようにすると変化が無くていいと思う。よく、満員電車で新聞の読みたい面を折り返して読んでいる人が居るけど、あの要領。単語帳やスケッチブックのようにくるっと裏側に一周させるイメージ。
 ところで関係ないが、会場によっては、かなり机の状態が酷いこともあるようだ。特に古いテーブルで木目がデコボコしているようなところもあるらしい。そういうところはボール紙が配布され、それを下敷きがわりに使うように指示されるらしい。このような可能性も考えて、シャープペンの芯などは異なる硬さのものを用意するとかするといいかもしれない。
文房具や解答用紙の評価
紙質
 紙質は、午後1はマークシート用紙のような、わりと色が乗りやすいタイプの紙で応用情報の午後と同じような感じ。午後2はどちらかというと若干つるつるして色が乗りにくい感じだった。
 そのため、手の疲れ防止のため2Bを午後1で使うと非常に書きにくく文字が汚くなる傾向があるように感じた。しかし午後2は若干つるつるしているので、2Bでも十分に記述が可能だった。なので、手の疲れが激しい人は午後1をHB、午後2をBか2B(受験票にはHBかBを指定)などと使い分けたほうがいいと思う。
文房具
 自分はパイロットの「ドクターグリップ Gスペック」と三菱鉛筆の「ユニ アルファゲル クルトガエンジン搭載タイプ」を利用してみた。
 ドクターグリップはとても重心のバランスが良く書きやすい印象があった。ユニアルファゲルのクルトガ搭載タイプも同様、書き心地は問題ないのだが、つかれにくさではドクターグリップのほうが上に感じた。
 しかし、実際に利用してみると、特に2Bの芯では、すぐに芯が減るので、どんどん文字が太くなってしまう。その場合にはクルトガ搭載タイプのユニアルファのほうが、常に芯のとがった部分を利用できるので、書き心地が維持され非常に書きやすかった。ところが、HBなどの堅い芯で午後2の論文の解答用紙のようなツルツルした紙に記述しようとすると、逆に芯のとがった部分のみ紙に接するため、芯のひっかかりを感じて書き心地がものすごく悪くなった。
 そのため、柔らかい芯→クルトガ搭載タイプ、硬い芯→ドクターグリップなどと使い分けたほうがいいと感じた。
 しかし、このあたりは書き方によっても随分違うと思うので、実際に試してリスクを軽減するか、異なる芯やシャープペンを複数持ち込むなどのリスク回避を検討したほうがいいと思う。
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  • テスト --- 管理人 (2017/06/16 19:02:27)
  • こちらの記事を参考にさせていただき無事合格しました。感謝です。 --- tappy (2017/12/21 08:42:46)
    • 合格おめでとうございます。当wikiがお力になれて嬉しいです。今後ともよろしくお願い申し上げます。 --- 管理人 (2017/12/23 19:43:02)


  • 最終更新:2018-01-08 19:54:26

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